今はまだ、折れた翼でも
今度こそ玄関で靴を履いて、靴箱の上に置いてあった鍵を掴む。

外に出て、ドアの鍵をかける。それをスマホと同じポケットへ乱雑に突っ込んだ。


アパートの階段を降り、来た道を戻る。

今度は電車で帰ろう。さすがに往復で隣の市まで歩くのはきつい。

電車なら、向こうまでは大体15分でつく。


歩きながらスマホで時刻表を調べる。見れば、ちょうど電車は行ってしまったみたいだった。

次は、45分後。田舎の電車の待ち時間なんてそんなものだ。

ゆっくり歩いても間に合うか。そんなことを考えながら、俺は元の場所に再びスマホをしまった。



帰る途中、映茉の通う北田高校に寄った。時刻は10時前くらいで、運動場には誰もいない。

北田高校に来るのは、受験以来だ。ちょうど三か月くらい前のことだったか。

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