今はまだ、折れた翼でも
誰かと一緒にいることで幸せを感じられるなんて、どれだけ素晴らしいことなんだろう。

漫画とかである、「キミ以外いらない」なんて言葉は実際に存在したりするのだろうか。

私もそんな人と将来一緒になりたいと思うけれど、そもそも友達が一人もいない私に大切な人なんて見つかるのだろうか。


あのカップルは、いるかのストラップを買っていった。

そういえば、だいぶ奥まで来てしまった。この通りを抜けると、多分屋台はなくなる。交通規制がかかっているのも、あと数十メートルといったところだろうか。

というか、今まで散々白岩くんを振り回してきてしまった。白岩くんはなにも言っていなかったけれど、きっと疲れていると思う。



「白岩くん。ごめんね……」



ちょっと休憩しようか。とつなげようと左横を見る。


だけど、そこに白岩くんの姿は見当たらなかった。

全身から、さあっと血の気が引いていく。

左方向には人ばかりで、しかもあたりはさっきよりも暗くて探そうにも探せない。
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