今はまだ、折れた翼でも
とりあえず電話してみよう。お店から離れ、邪魔にならないよう端の方へよける。

肩にかけていたポシェットの中に手を入れてスマホを探す。

スマホを見つけ、電源を入れてみるけどつかない。



「こんなときに充電切れ……?」



思わず声に出してしまい、周りから好奇の目を向けられる。

でも、そんなの気にしていられなかった。

こうなったのは、白岩くんのせいじゃない。


私のせいだ。


小物の屋台の通りを抜け、人とぶつからないように気を付けながら歩く。

私は、この先にある駅に向かおうと思った。

駅なら公衆電話が借りられる。


白岩くんの電話番号は知らなかった。だけど、私はなにも考えずにただ歩く。

どこかにいけば、なんとかなると思った。


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