今はまだ、折れた翼でも
昔から、甘えてばかりの性格だった。

それは、人だけじゃなく、運とか、未来とか。

自分がこの先不幸になっても、きっと最後にはなんとかなるんじゃないかって何の根拠もなく信じていた。


でも、そんなことはなくて。

努力しなきゃ夢は叶えられないし、自分の望む明るい未来もやってこない。

暗い想いで望んだ未来は、きっと暗いままで。


甘えてばかりじゃダメなんだって、白岩くんと出会って思った。

私は、今まで一度も白岩くんの笑顔を見ていない。

だから、私は白岩くんを笑わせてみたい。


苦笑いとか、愛想笑いとかじゃなくて。心の底から。


歩きすぎて足の裏が痛い。少し、休憩しよう。

屋台のある大通りから外れて、人気のない歩道にある段差の石に腰掛ける。

靴と靴下を脱いでみるけど、特に靴擦れとかはしていないみたいだった。


よかった、とほっと胸を撫でおろしたとき。


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