今はまだ、折れた翼でも
そして、片手で持てる程度の小さなおぼんをテーブルの上に置く。

おぼんには、小さめのおにぎりがラップに包まれて二個乗っていた。



「ごめんね、ありがとう望くん」


「……ああ」



望くんが「渡してくれ」と言っていたあたり、多分お母さんが作って私に渡すよう望くんに頼んだのだろう。

初日から張り切って勉強しすぎて疲れていたので、そのおいしそうな見た目に空腹が刺激されるのが分かる。

遠慮するのは、作ってくれたお母さんにも、それを持ってきてくれた望くんにも申し訳ない。


ということで、私はいただくことにした。

ラップの包みを取り、さっそく口に入れてみる。



「おいしい~」



疲れた脳にちょうどいい塩気が染みて、とっても美味しい。
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