今はまだ、折れた翼でも
……でも、食べている様子を望くんに見られているのは、なかなかに恥ずかしい。

はむはむと口を上下させながら二個目を食べ終わって、丸めたラップをおぼんの上に置く。



「ごめんね、望くん。もう夜遅いのに」



私がそう言うと、望くんは首を振った。



「いや。……テスト勉強で疲れてるだろ、映茉。世話になってる身としては、これくらいのこと、別に」



照れているのか、視線をそらして恥ずかしそうにする。そんな様子が、ちょっと可愛く見えてしまった。

失礼かもしれないから、口に出しては言えないけど。



「じゃあな、おやすみ。映茉」

「……うん、おやすみ。望くん」



そのあいさつに、私も返す。

望くんは立ち上がってドアを開け、部屋を出ていった。


< 75 / 198 >

この作品をシェア

pagetop