今はまだ、折れた翼でも
そして、私の左手首を握った。



「それで、そのイケメンが鳥越さんに用があるんだって!一緒に行こ!」


「え、ええっ」



私はひっぱられるままに椅子から立ち上がり、その拍子に落ちてしまった通学かばんを拾う余裕もなく教室から出てしまった。



「イケメンだって~」

「見に行こー!」



ろうかにいた女の子たちからはちらほらそんな会話が聞こえた。

こんなに話題になるくらいかっこいい人が、私に用なんてあるのかな。


私の手を離さず、目の前を走る花田さんのゆらゆら揺れるポニーテールを眺めながら考える。


というか友達すらまともにいない私が、男の子の知り合いなんているはず……。


あ。待って。もしかして……。


ひとつ、思い当たる節がある。

まさか。

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