今はまだ、折れた翼でも
ほんと、びっくりした。

私は突然起こった出来事が衝撃的で、足がうまく前に動かない。

先生も私のことに気づかないまま、とうとう一人になってしまった私は、しばらくして我に返った。



……私、どうして、ここにきたのが望くんだって思ったんだろう。

望くんは私の通っている高校については話していない気がするから知らないと思う。まずそこで、ありえない話なのに。

私のただの、想像であり、空想。


私、最近、なんだかおかしい。

土曜日のお祭りのときだって、男性たちに話しかけられて怖いって思ってて、そんな場合じゃないのに望くんのことを考えていたし。

これじゃ、私、最低だよ。

望くんに、申し訳ない。


今回のことは、晃成くんにも申し訳ない。

晃成くんに言ったあの「ごめんね」は、そういう意味も入っていた。


私は、結局、全然だめだ。

誰かにこれ以上、寄りかかってるわけにはいかないのに。甘えないって、決めたのに。


私は体操服の入った袋をぎゅっと抱いて、校舎へ向かって歩き出した。




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