今はまだ、折れた翼でも
11 秘密の場所
「ごめんね、映茉ちゃん。ちょっとお買い物行ってきてくれないかな?」



期末テストを一週間前に控えた日曜日の夕方。リビングにいた私はお母さんに買い物を頼まれていた。

どうやらお母さんは、これから地域の集まりがあるらしく行ってこれないみたい。

今日勉強する予定の分はとりあえずやったし、これくらいなら全然大丈夫だ。



「いいよ。なにを買ってきたらいいかな」

「お母さん、メモしたの。考えてるうちに多くなっちゃったんだけど……」



手渡された大きめのメモには、そのとおり結構たくさん書いてあった。

でも、まあなんとかなるだろう。うん。



「了解。今から行ってきてもいいかな」

「ほんとに、ごめんね」

「ううん。お母さんは、気にしないで」


「なあ、これ俺も手伝うけど」



とつぜん目の前に影がかかり、後ろに気配を感じた。

そして、耳元の近くで聞こえる声。
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