今はまだ、折れた翼でも
風で、明るい金色の髪がさらさらと揺れる。
「……私、動物とか植物だけじゃなくて虫も好きなこと、怖くて周りには言えないんだ。幼稚園に通ってた頃、“虫が好きなんて気持ち悪い”って言われたことがあって。それ以来、秘密にしてて。……でも、望くんがそう言ってくれるなら、私、虫が好きな自分に胸を張れそうな気がするよ」
話の流れでそんなことまで言ってしまったけど、私は自分を否定してくれた望くんの暖かさを感じた。
望くんの優しさ、私が貰っちゃってもいいのかなって思うけど。
「俺も、見てみたい」
「……えっ?」
「その、ひまわり畑とか」
望くんが、今度は視線をそらしてそう言う。
「……うん、それじゃあ、見に来ようよ。一緒に。私、誰かと見るなんて初めてだなあ」
「……そうか」
望くんは立ち上がりながら、短く返事をする。
私もベンチから腰を上げ、隣に置いておいたスーパーの袋を手に取った。
「じゃあ、帰ろっか」
「分かった」
“分かった”というその言葉を発する声が、柔らかい。安心する。
まだ、隣にいられるんだって、思うから。
「……私、動物とか植物だけじゃなくて虫も好きなこと、怖くて周りには言えないんだ。幼稚園に通ってた頃、“虫が好きなんて気持ち悪い”って言われたことがあって。それ以来、秘密にしてて。……でも、望くんがそう言ってくれるなら、私、虫が好きな自分に胸を張れそうな気がするよ」
話の流れでそんなことまで言ってしまったけど、私は自分を否定してくれた望くんの暖かさを感じた。
望くんの優しさ、私が貰っちゃってもいいのかなって思うけど。
「俺も、見てみたい」
「……えっ?」
「その、ひまわり畑とか」
望くんが、今度は視線をそらしてそう言う。
「……うん、それじゃあ、見に来ようよ。一緒に。私、誰かと見るなんて初めてだなあ」
「……そうか」
望くんは立ち上がりながら、短く返事をする。
私もベンチから腰を上げ、隣に置いておいたスーパーの袋を手に取った。
「じゃあ、帰ろっか」
「分かった」
“分かった”というその言葉を発する声が、柔らかい。安心する。
まだ、隣にいられるんだって、思うから。