今はまだ、折れた翼でも
「……約一週間後に行われる一学期期末考査で全教科90点以上を取れば、出席日数の件は免除になるそうだ。これはお前のための、仕方なくの学校側の判断なんだ」



先生は少し困ったように眉を下げながら、口を閉じる。

その物言いからは、“留年するのが白岩望のせいで、そんなしょうがない白岩望のために仕方なく俺が動いてやった”なんていう傲慢さが手に取って分かるようだった。


……望くんが、留年。

望くんが学校に来ない理由は分からないけど、留年ってことは、もう一度一年生をやるってこと、だよね。

ちらりと望くんのほうを見るけど、さっきとは表情すら変わっていなかった。



「まあ、提案しといて悪いが、今から勉強しても絶対に無理だろうな。というわけで、白岩。いや、白岩望。お前の留年は確定したってことで—————」


「まっ、まだ、そうと決まったわけじゃありませんっ!」



気が付けば、立ち上がってそう叫んでいた。
< 93 / 198 >

この作品をシェア

pagetop