浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
桜川先生に恋心を抱く女性は少なくないと思うし、告白されるなんて日常茶飯事かもしれない。
職場には美人な看護師さんもいるし、私を彼女にするなんて、きっと夢のまた夢に違いない。


「けど、あながち嘘ではなかったりして」

「冗談はやめてよね。 そんなことより、お昼済ませてしまおう」


茶化すように言う麗華の話を軽く流して、私は席を立つ。

「ちょっと待ってよ〜」と後ろを追いかけて来た麗華と一緒に食堂へと向かうと、慣れた手付きでエビフライ定食の食券を購入し、空いている席に座った。


外来終了予定時刻は12時。
12時30分オペ出しで、1件目の手術予定時間は2時間半。 2件目の予定も、ほぼ同様。

19時から予定通りに医院長との会食が行われるとして……ギリギリのタイムスケジュールだ。

外来がない日は午前中から手術をする日もあるし毎日こんなハードスケジュールではないけれど、いったいいつ睡眠を確保しているのか、不思議で仕方がないくらいだ。

以前の病院で担当していた先生はここまで忙しくなく、そこそこフリーな時間も確保できていたみたいだから、ここまで忙しい桜川先生はきっと、この病院の期待の星なんだろう。


食事を終え、午後のスケジュールを確認しつつナースステーションへ立ち寄ると、案の定朝の件で色々尋問を受ける羽目になった。
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