浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
望さんは愛加の傍へ近寄ると、後ろから愛加を抱きしめた。 

びっくりした様子の愛加だったけれど、望さんだと理解すると「パパー」と背中に小さな手を回して抱きつく。


「愛加、すごいな。 お姉さんになるの?」

「うん! しらなかったの?」

「知らなかったよ。 すごいね」


そう言われたのが嬉しかったのか、愛加は恥ずかしそうに顔を隠す。

……愛加が、お姉さんになる。

愛加が産まれたときはそんなことは想像もしていなくて、なにもかも手探りで目の前の出来事に必死だった。
いつの間にか自分で出来るようになることが増えていて、そして〝自分はお姉さんになる〟と……。

父親が本当の父親ではなくて、心配な部分がなかったわけではない。

でも、そんな心配をよそに、愛加もすくすくと成長してくれていたのだ。 そう思うと、ちょっと感慨深い。


「水姫、明日、うちの産婦人科を受診しようか。 連絡くれたら、少しだけなら抜けられると思うから」


愛加のことを抱っこしたたまま振り返ると、私に話しかけてくれる望さん。

一緒に受診に付き添うと言ってくれている気持ちは嬉しいけれど、仕事の手を止めてまで来てもらうのはさすがに申し訳ないような気がする。


「大丈夫ですよ。 愛加を連れて、受診できますから」

「……そうか。 なにかあったら、すぐ連絡して」
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