浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
そう言うと、私のおでこにそっとキスを落とす望さん。

……ダメ。 今は愛加が近くにいる。
だけど、どうしても望さんに甘えたい……。

気持ちが抑えきれずに、望さんの服の裾をキュッと掴んでしまう。
それを見た愛加が先に反応し「ママー、あまえんぼさんね」と茶化した。

なんだか恥ずかしくなって顔を隠すと、望さんがふっと笑う。
それに釣られて、私も愛加も笑ってしまった。


* * *

翌朝、望さんに行ってらっしゃいのキスをしてから愛加と一緒に見送ると、私も出かける準備をした。

望さんに言われた通り、今日産婦人科を受診する。

大きなバッグに愛加の着替えと予備のおむつ、おやつ、音が鳴らないおもちゃを詰め込むと、バッグはパンパンになる。
私1人だと財布とスマホがあれば外出できるけれど、今はそうはいかない。

愛加が一番大荷物なのだ。


「愛加、お出かけしよう」

「え? こうえん、いくー?」

「ごめんね。 今日は病院」

「びょういん! パパのおちごと!」


……うーん。 まぁ、間違ってはいない。
以前望さんの仕事はなにをしているのかと愛加に問われ、「病院にいるよ」と答えた。

それ以降、愛加の中では『病院=パパのお仕事』となっているようだ。
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