浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
病院に行けばパパに会えると思っているようで、愛加にとって病院は〝楽しいところ〟みたい。
まぁ、泣かれるよりは100倍マシではある。

愛加としっかりと手を繋ぎ、病院までの道のりを歩いた。
まだ歩き方がままならない愛加は、道端にある花や草に目が留まりなかなか先へと進めない。

結局最後は抱っことなり、いつもは10分程度で到着する病院までも、20分かけての到着となった。

病院内へ入り総合受付で産婦人科の受付を済ませると、エレベーターで2階へと向かう。
先に愛加を待合室の椅子に座らせ、窓口に受付表を提出した。

私、もうすでにぐったり……。 それなのに、愛加ときたら元気いっぱいで、待合室にあるキッズスペースに向かって走り出してしまった。


「あっ……! 愛加、待って!!」


急いで荷物を抱えて、愛加を追いかける。 けれど、キッズスペースの近くまで行って、足を止めてしまった。


……見たことある、女性の姿。

私からは横顔しか見えないけれど、間違うわけがない。 忘れる、わけがない。


もう思い出したくもない、約3年前の記憶。
ーー淳史が、浮気していた女性だ。

向かい合って子どもと接している彼女は、あの日より少しふっくらしていた。

目の前でキャッキャッと声を出して遊んでいるのは、きっと彼女の子ども。 見たところ、愛加とあまり年齢差もなさそうだ。
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