浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
もう、お互い子どもがいる身だ。 この先、こんな風に会うこともあるかもしれない。

私は本当に今幸せで、過去に未練などまったくない。

過去は過去であって、今はまた違う現実があり、未来はいくらでも変えることができる。
彼女にも、この先幸せになって欲しいと、そう思った……。



「えっ!? 元カレの彼女だった人に会った?」

「はい。 今は、シングルマザーだって言ってましたけど」


夕食が終わり、キッチンで食後のコーヒーを淹れている私は、今日産婦人科での出来事を望さんに話した。

今日は望さんの帰宅時間も早く、久しぶりに家族3人の時間だ。

望さんが帰宅時に買ってきてくれたショートケーキと淹れたてのコーヒー、愛加用のオレンジジュースをトレイに乗せると、リビングへと運んだ。

ワイド型テレビの前にあるソファーに腰かけ、ミニテーブルにコーヒーとケーキを並べていく。


「それで、例の彼は?」

「それは、わかりません。 きっとまた、違う女性といるんじゃないでしょうかね……」

「そうか。 水姫、別れて正解だったな」

「そうですね……でも、私は彼女のことを恨んだりしていません」


今日、産婦人科で彼女に出会えたことはなにか意味があったのではないかと思う。

当時はただただ彼女が憎く、一生忘れることなんてできないと思っていた。
でも、彼女はそこまで悪い人ではなかったということが、今日わかったのだ。
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