浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
そんな私だけれど、今回は引き下がるわけにはいかないのだ。
だって、望さんが浮気しているのかを、この目で確認しなければならない。

しばらくすると、食堂もガヤガヤとにぎわい始めた。

つい30分ほど前までは私を含め5人だったテーブルも、一瞬で埋まってしまう。

スマホで時間を確認すると12:05……もうしばらくすると、望さんが秘書室に戻ってくる時間だ。
……そろそろ行かないと。

コーヒーカップを返却口へ戻すと、私は秘書室へと足を運んだ。



「よし……誰もいない」


周りに誰もいないことをしっかり確認し、そーっと、秘書室の中を覗き込んでみる。
望さんもまだオペから戻って来てはいないようで、秘書室は静かだった。

久しぶりに見る、秘書室。

あんなに毎日のように通っていた場所なのに、すごく懐かしく感じて、同時に望さんと一緒に仕事をしていたときのことが鮮明に蘇る。

好きで始めた医療の仕事。
私の頑張りを、いつも認めてくれていた望さん。

6年間も一途に私に片想いしていた望さんが、浮気なんてするかなぁ……?


「でも、浮気…していたら嫌だな……」


そんなことを呟きながら、偵察になんて来なければよかったと思ってしまった。

もしも浮気が事実だったら、きっと悲しくなるに決まっているのに。 それを自ら選択してわざわざ来るなんて……。
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