浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
もしかして……そういうことだったの?

望さんもまんざらではないような感じだし、このやり取りを見て〝だたの医者と秘書〟と思う人はいないだろう。


「ねぇ先生、この後なんですけど……」

「あぁ、今日はちょっと忙しい。 それより、この前頼んでおいたことはやっておいてくれたのか?」

「もちろんですよ! 頼まれたことはやっていますぅ~」


……耳が痛い。 今すぐにでもこの場から離れたいのに、足が動かない。

やっとの思いで立ち上がると、土砂降りの中、傘も差さずに麗華の家へと向かったーーー。


* * *

「ちょっと!? どうしたのよ!」

「……いきなり、ごめん」


玄関先でずぶ濡れの私を見るなり、驚きを隠せない様子の麗華。
それもそうだろう。

偵察に行ったという私が、あの後特に連絡もせずに、いきなり訪問しているのだから。 しかも、ずぶ濡れで。


「とりあえず上がりな? 今、あたたかいコーヒー淹れるから。 話はそれから聞くね?」

「うん……本当にごめん」

「いいって! ほら、早く上がって」


状況をすばやく把握してくれ、冷静に私の対応をしてくれる麗華。

麗華を追いかけてトコトコと奥からやって来た陽里ちゃんに「ひまちゃん。 お風呂場から大きいタオル持って来て、ママに渡してくれる?」とお願いしている。
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