浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
ドクン……と、心臓が大きく反応した。

桜川先生の言う〝朝言ったこと〟とは多分「藤田は俺と付き合っている」っていう発言のことであろう。
あの後、桜川先生は「詳しくは後で話す」と言っていたけれど……。


「あ、覚えています。 咄嗟に嘘をついてくださったんですよね。 ありがとうございます!」

「嘘?」

「え……だって、元カレがこれ以上付き纏わないように、あんな風に言ってくださったんじゃ……」


「藤田……いや、水姫」


「言ってくださったんじゃないんですか?」と聞き終わる前に、桜川先生は私の話を遮る。
急に視界が暗くなり、その瞬間唇に生温かいものが優しく触れた。


え……? 今、なにが起きてる?

この生温かい感触って、もしかして……。


「水姫、俺は本気だ」

「えっ……?」

「あれは嘘じゃない。 俺はずっと、水姫が欲しかった」


いつもとは違う、真剣な眼差しで私を見つめる桜川先生。

桜川先生に聞こえてしまうのではないかと思うくらい、私の心臓はドキドキと高鳴っている。
状況がよく掴めず、思考回路は完全に停止状態。

朝、桜川先生が淳史に言っていた言葉は、その場を上手く乗り切る冗談だと思っていた。
そう思っているから、そんなに深く考えていなかったし、これからも桜川先生との関係に変わりはないと思っていた。
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