浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
すでにこんな非日常的な世界ーーー。

夢でも見ているのではないかと思うくらい、自分が見ている光景を疑ってしまう。


「いらっしゃいませ、桜川様。 中でお父様がお待ちです」

「あぁ。 ありがとう」


入り口でウエイターさんが声を掛けてくれ、席へ案内してくれる。

ドキドキしながら向かった先は、夜景が一番きれいに見える席。
すでに桜川医院長は窓際の席に座っていて、夜景を見ながら一足先にワインを堪能されているようだった。


「お父様、お待たせしてすみません」

「……おぉ、望か。 まぁ座りなさい。 藤田くんも、望の横に座るといい」

「は、はい。 失礼いたします……!」

「藤田くん、そんなに緊張しなくてもいい。 いつも通りでいいんだよ」


にっこりとそう言ってくれた桜川医院長だったけれど、緊張しないわけがない。

医院長もいつもとは違う雰囲気だし、どんな風に接したら正解なのかがわからないでいた。


「水姫はなに飲む?」

「えっと……じゃあ、ノンアルコールのカクテルをいただけますか?」

「お酒、飲めないの?」

「いえ……あんまり強くないですし、酔っちゃうといけないので」


別にお酒が苦手なわけではないけれど、こんな場所で酔ってしまうのは恥ずかしい。

「そうか、わかったよ」と優しい笑顔で言ってくれた桜川先生はシャンパンをオーダーし、桜川医院長は追加で赤ワインをオーダーされた。
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