浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
「水姫との、結婚を考えています」


ーーーえっ? 今、なんて言ったの?

けっこん? 結婚って、私が桜川先生と……?


驚きを隠せずに桜川先生を見つめたが、真っ直ぐ桜川医院長を見ていて……その瞳に嘘はない。

そもそも約3年桜川先生の秘書として勤めてきた身だ。

桜川先生は、こんなこと冗談では言わない。


「そうかね。 藤田くんなら、望の結婚相手にふさわしい。 望が決めたのであれば、私は応援するよ」

「ありがとうございます」


状況が呑み込めないまま、私も釣られて頭をペコリと下げた。

いや……今はペコリどころじゃない、ポカンだよ。
だって、私は今まで秘書として桜川先生の傍にいただけで、結婚なんて考えたこともなかった。

普段冗談は言わない桜川先生だけれど、さすがにこれはおかしい。

もしかして私、夢でも見てる?


「藤田くんはどうかね。 望は仕事が忙しいと思うが、これからも傍で支えてやって欲しい」


優しい笑顔で、私にそう言ってくださる桜川医院長。
その笑顔はどことなく桜川先生に似ていて、やっぱり親子なんだと改めて思う。

医院長も、きっと息子である桜川先生が嘘を言っているだなんて思っていない。

だからこそ、こんな風に言ってくれているのであろう。
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