浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
これは、この場だけでも話を合わせておくべきだよね……?


「えっと……これからも全力でサポートさせていただきたく存じます」

「うむ。 ありがとうね、藤田くん」


とっても嬉しそうに笑顔を見せてくれた桜川医院長。
ワインをさらに一口飲むと、「さぁ! 食事を楽しもう」とすすめてくださっていた。

その後、スープやメインディッシュが運ばれてきたけれど、味はまったく覚えていない。

医院長との食事が終わり桜川先生の車に乗るころには、もうぐったりだった。


それで……私はこの後どうすればいいのだろうか。


このままだときっと、結婚の話が進んでしまうよね?
そうなる前に、ちゃんと話をしなければ。


「ごめんな? 疲れただろ」

「いえ……緊張しましたけど、もう大丈夫です」


そんなことが伝えたいんじゃない。

麗華のアパートに戻るまでに、どういう経緯で結婚の話を持ち出すことになたのか、確認したい。


「水姫。 今日は俺のマンションに帰るけど、大丈夫だよな?」

「えっ!? 桜川先生の……マンションに、ですか…?」

「ちゃんと話すから。 今日のこと」


右手にハンドルを握ったままで、左手で私の右手を絡めてくる桜川先生。

そんな些細な行動にですら、今はドキドキしてしまう自分がいる。
< 22 / 142 >

この作品をシェア

pagetop