浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
医院長? 父から直接話を聞かなければならないほどの事情だということなのか?

だとしても、なぜ俺に真っ先に話が回ってこない?


「とりあえず、今日のスケジュール確認をしてもよろしいでしょうか? 今日は、午前中から……」

「……悪い。 今はそれどこではない」


花谷さんの話を遮ると、俺は急いで医院長室へと向かった。

今日は午前中から脊椎の手術だろう。 そんなことはわかっているから、一刻も早く水姫になにがあったのかを知りたい。


そうしないときっと、気になって手術どころではなくなってしまう。

水姫のことになるとこんなにも余裕がなくなってしまう自分がいることに少し驚いたが、足早に医院長室に向かうと、ドアをノックしてからドアノブに手を掛けた。


「医院長、お時間いただいてもよろしいでしょうか?」

「……おぉ、望か。 こんな早い時間にどうしたのかね? 今日は、大事な手術が入っているのだろう?」

「そんなことより医院長……いえ、お父様。 水姫に、なにかあったのですか?」

「……藤田くん、か…」

「お父様、なにがあったのか教えていただけませんか? 花谷さんから〝直接医院長から聞いて欲しい〟とのことで、今こうしてお伺いしております」


父はデスクの上に置いてあった湯呑を手に取ると、一口だけお茶を啜った。
そして、俺の目を真っ直ぐ見つめてくる。
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