浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
さっきとは逆で、今度は亜美が話づらそうにしている。
少し冷めてしまったコーヒーを口にすると、亜美はゆっくりと口を開いた。


「淳史くんが、ほかの女性と歩いているところ……見かけたの。 お弁当屋さん近くの、ジュエリーショップで……」

「え……嘘…」

「半年くらい前だったと思うよ。 私は水姫から写真を見せてもらっただけだったけど、間違いなく淳史くんだった」


半年前……私と付き合った期間は1年くらい。
その期間の半分も、浮気されてたってこと? 信じられない……。

しかも、1年付き合っていてもジュエリーなんてものはプレゼントされたことないのに。


「この街でデートしていたのは、水姫に見つかったらやばいから……」

「私……そんな前から裏切られていたんだ」


どうして気づけなかったのだろうか。
私が鈍感なせい? 淳史の嘘が上手いから? もうわからない。

でも、だた一つ言えることは、産まれてくる赤ちゃんのために別れて正解だったということ。

産まれてから浮気に気付いていたんじゃ、遅かったと思う。

かと言って、他人が愛し合っている場面を見たくはなかったけどね。


「水姫、別れて正解だったよ。 別れていなかったらきっと、ずっと悲しい思いをしなきゃいけなかった。 水姫だけじゃなくて、お腹の赤ちゃんも」

「うん……それ聞いて、私は間違ってなかったって、そう思えた」

「一人じゃないよ。 私も、なにか手伝えることあったら力になるから」
< 39 / 142 >

この作品をシェア

pagetop