浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
担当するのが次期医院長であると知り最初は身が引けたけれど、これもなにかの縁だと思い、引き受けることにした。
が……やっぱり想像以上に忙しい。


「桜川先生、おはようございます。今日のスケジュールですが、午前中は外来、午後からは手術が2件あります。1件目は……」

「そんなことより、藤田を尋ねて誰か来ていたらしいぞ」

「え? 私にですか?」


スケジュール確認の途中で話を遮られたかと思うと、私に来客だと言う。

ちなみに、1件目と2件目の手術は、桜川先生が得意とする「人工股関節置換術」。
どちらも約3時間の予定で、それが2件もあるだけでスケジュールはぎっしり埋まってしまう。

その手術を外来後に2件もやってのけるのだから、たいしたものだ。
……いや、そんなことより。


「私に来客って、こんな朝早くに誰なんでしょう?」

「さぁ……なんか、若い男性だそうだ。ナースステーションに尋ねて来ていたそうで、確か〝倉科〟とかなんとか言っていたような……」

「え……倉科、って……」


その名前を聞いて、背筋が一瞬で凍った。
倉科……倉科 淳史だ。

ついさっきメッセージを送信していたと思ったら、私の職場へ……?
信じられない。怖すぎる。

しかもナースステーションに私を尋ねるって、今後看護師とどう対応すればいいのやら。
そんなことされたら恥ずかしくて、顔を合わせづらいじゃない……。
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