浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
お昼の3時までにほとんどのお弁当が完売となり、あとは明日の下ごしらえをしつつ片付けも並行して行っていく。

妊婦である私は負担がかかるといけないので、ある程度店内の片付けが終わると帰らせてもらっていた。


「お疲れさまでした」

「お疲れ様。　また明後日もよろしく」


レジ付近にいた店長にそう言われながら、お店を出る。　妊婦である程度行動が制限されてしまうのに、こんな風に頼りにしてもらえるのは本当にありがたい。

ゆっくり歩きながら家に到着すると、冷たい麦茶を飲んで一息ついた。

明日は祖母の病院。
慣れない車を運転して、病院まで行かなければならない。

今日は早めに休んで、明日に備えようかな。

両親が帰宅する少し前にお風呂を済ませ、夕食に夏の定番メニューであるそうめんを食べると、いつもより少し早めにベッドに入った。


＊　＊　＊

「水姫、運転気を付けるのよ？」

「うん、安全運転で走るから大丈夫だよ」

「心配だわ……」


翌朝、朝食を済ませて玄関でスニーカーを履いていると、頭上から母の声が降ってくる。
病院の付き添いを頼んでおきながらしつこく運転の心配をしてきている。

私がペーパードライバーだからわからなくもないけれど、そんなに心配なら自分で行けばいいのに……。

喉まで出かけた言葉を飲み込んで、「行ってきます」と家を出ると、車のエンジンをかけた。
< 51 / 142 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop