浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
俯いて泣いている私の身体を、桜川先生はもう一度優しく抱きしめた。

本当は、桜川先生も泣きたいよね。


「……水姫、聞いて。 俺は、水姫のすべてを受け入れたい。 お腹の子のことも、すべて。 だから、俺の前からいなくならないで欲しい」

「……!?」


驚いて、顔を上げた。
それって、桜川先生がこの子の父親になるってことだよね?

なぜ? どうして?

桜川先生にならきっと、もっと素敵な女性が現れるはずなのに。

私のことは愛せても、他人の子を愛することは難しかもしれない。
それが嫌で、私は桜川先生の前から姿を消したのに……。


「お願いだ。 俺はそれくらい水姫を手放したくないんだ。 2人とも、絶対幸せにする」


そう言いながら、私のお腹にそっと手を触れる桜川先生。
それに対しての返事なのか偶然なのか、赤ちゃんが私のお腹をポンっと蹴った。


「あ、今動いたんじゃないの?」

「……はい。 桜川先生が触ったの、わかったのかもしれませんね」

「そうか。 それで水姫、返事は?」


お腹に手を触れたまま、桜川先生のおでこが私のおでこにコツンと触れた。

私、いいのかな? 自分の気持ちに素直になって。
私も、桜川先生と一緒にいたいと、伝えてもいいのかな。
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