浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
久しぶりに見た淳史の姿は、どこか懐かしくて……なんだか切なくなる。

改めて、私はこんなにも淳史のことが好きだったのだと思うと、胸が締め付けられた。


「……水姫!!」


私の存在に気が付いた淳史は、名前を呼びながらこちらへと近付いてくる。


が、一瞬にして視界が真っ白になった。


……そう。私の目の前には、長白衣姿の桜川先生が立っていて、淳史の行く手を遮っている。


「へぇ……君が水姫の元カレ?」


〝水姫〟と、ふいに呼ばれた私の名前。
ドキッと、私の心臓が反応してしまう。

いつもは「藤田」と、苗字で読んでくれているのに、いきなりどうして……?


「あのさ、水姫が困ってるのわからない?」

「……お前誰だよ。俺は水姫に用がある」

「俺? 俺は、この病院の時期医院長。それから、水姫と付き合っている」


……え? えぇ!?
桜川先生、い、今なんて言ったの!?

驚きを隠せていない私にはお構いなしで、超クールにそう言った桜川先生。

「だから、もう水姫に付き纏わないでくれ」と付け加えると、私の手を取りその場を後にした。


病棟を離れ、さっき通った渡り廊下まで戻ってきたところで「桜川先生……!」と、私は先生を呼び止めた。

さっきから、ドキドキと心臓がうるさい。
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