浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】

そう言った麗華の目には、じわりと涙が滲んでいた。
釣られて泣きそうになったけれど、愛加が「マーマー」と服を引っ張り、私を呼んでいる。

どうやら私たちだけが話をしていることに納得いかなくなったようで、割り込んできた様子。


「はいはい愛加どうしたの？」

「ママー。　あいちゃんに、あーんして」

「あぁ、わかったよ。　じゃあ、スパゲッティをくるくるして……」


どうやら自分でスパゲッティを食べることに飽きてしまった愛加が、私に食べさせて欲しいと言っているみたい。

そんな私と愛加のやり取りを見ていた麗華が、「もうすっかりママだねぇ」と言いながら食後のコーヒーを飲んだ。

すると突然愛加が席を立ち、麗華のもとへと走り出す。　
そして、ぎゅっと抱きつき、とんでもないことを口にした。


「れいちゃん、あのね。　あいちゃんね、おねえさんになるよ！」

「……えっ？　愛加ちゃんが？」


驚いた麗華が私の顔を見る。　
いきなりの発言によくわからないまま、私はぶんぶんと首を横に振って否定した。

愛加、どうしてそんなこと言ったのだろう。　子ども向けのテレビ番組かなにかで、兄弟姉妹の内容でも観て覚えたのだろうか。


「ふふっ。　愛加ちゃん、お姉さんになるのー？」

「うん！　あいかはおねえさんで、おとうとがいるらしいー」