【電子書籍化】聖女の力を失った私は用無しですか?~呪われた公爵様に嫁ぎましたが、彼は私を溺愛しているそうです~
 窓の外を眺めながらも、数分に一度自分のほうにちらっと視線を送っては、また窓のほうに慌てて視線を戻していることに気づく。
 自分の何かが気になるのだろうか、とも思ったその時、バルコニーで交わしたクリスティーナとの言葉を思い出す。


『もう、あなたはいい加減その臆病な根を直しなさい』


(僕は何かを怖がっているのだろうか)

 そう思いながらコルネリアのほうをじっと見つめてみる。
 ああ、やはり愛らしい。
 一緒に見に行って見繕ったドレスも、白を基調とした刺繍の映えるドレスも、今日のために下ろしたであろう花の髪飾りも、いつもより大人っぽくまとめられた髪も全て可愛い。
 こんな姿、それこそ独り占めにしたい、とレオンハルトはそう思い、そして同時に気づいた。

(そうか、この気持ちを今まで抑えていたつもりだったけど、コルネリアも同じ気持ちなら……?)

 クリスティーナの助言、そしてあのパーティー会場でのマリアとの会話でのコルネリアの行動と表情。

(コルネリアは僕のことが好きかもしれない)

 そんな風に思うも、なんとなく自惚れかもしれないと一歩を踏み出せずにいた。
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