【電子書籍化】聖女の力を失った私は用無しですか?~呪われた公爵様に嫁ぎましたが、彼は私を溺愛しているそうです~
 よくわからないがあまりの形相ぶりにレオンハルトは大きな声で返事をし、すぐさまベッドに向かう。
 そうして座ったのを確認すると、彼女は目の前に立ち、大きく深呼吸する。

「すー」

 そうしてコルネリアは息を整えると、レオンハルトに今からすることを説明した。

「レオンハルト様の呪いを私が解きます」
「……え?」
「今日、教会に行ってきました」

 その言葉を聞いてレオンハルトは彼女が何を言おうとしているのか悟る。
 聖女の力はきっかけは外部的要因ではあるものの、直接的要因は自分自身の中にある。
 それをコルネリアはどうやって乗り越えようとしているのか、レオンハルトもしっかり聞き届けようとしていた。

「私が聖女の力を失くしたのは、私自身が原因でした。私が心を閉ざしてしまったから」

(そうだ、カリート伯爵の部下によって、じわじわと心を壊されてしまった……)

「私は、私自身で逃げていたんです。力から。そして他人から」
「……うん」
「だから、私は自分で自分の力を封じ込めてしまっていました。使えなかったんじゃない、使わなかったんです」

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