【電子書籍化】聖女の力を失った私は用無しですか?~呪われた公爵様に嫁ぎましたが、彼は私を溺愛しているそうです~
「よかった、少しずつでいいから好きなものを食べていいから」
「はい」

 なんて贅沢なことだろうか、なんて食事は美味しいのだろうか、そんな風に思ったのは初めてのような気がした。
 と同時に孤児院にいた頃を思い出して、なんだか少し心が動いた。

(シスターに、食べさせてもらったご飯……)

 まだ幼く自分でうまく食べられなかった彼女は他の子供たちと一緒にシスターに食べさせてもらうことが多かった。
 孤児院にいたのは2歳までだったからそのくらいは当然だろう。
 忘れていた人の温かみを思い出して、コルネリアの心がドクンと一つはねた。


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