再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
(でも、そっか。このお城だけじゃないんだ)
ベルデさんはこの国のあちこちにあの頃の名残が見られると言っていた。
「都に行ってみたいな」
「え?」
城内に戻る途中、つい思ったことが口から出てしまった。
先を行っていたアマリーと腕の中のメリーが同時に私を見た。
「あ、ほら、私いきなりここに来ちゃったから、今都とかどうなってるのかなって気になって」
この国の首都である『竜の都』。
でも記憶に残っているのは、魔物たちの脅威に晒されまるでゴーストタウンのようになった街の姿だ。
と、アマリーが慌てたように言った。
「ですが、コハル様が都に下りられたら大変な騒ぎになってしまいます!」
「え、そうなの?」
「そうです! コハル様はこの国をお救いくださった聖女様なのですから」
「でもそんなに顔は知られてないと思うし、こっそり行けば」
「と、とんでもないです! それこそ何かあったら大変です……!」
必死な顔のアマリーを見てもまだ全然そんな自覚はなくて。
(それも、あとでリューに相談してみようかな)
お城の中に入りながら、私は今は会議中の彼のことを思った。