再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

第21話


(うーん、暇だ……)

 部屋に戻った私はソファの背もたれに寄り掛かり、ぼけっと天井を眺めていた。
 棚の上の置時計に視線を向ける。まだお昼まで大分時間がある。
 こういう時いつも手にしていたスマホはティーアの城に鞄ごと置いてきてしまったし、きっともう電池も切れてしまっているだろう。

 好きに過ごしていいとは言われたものの、このお城では出来ることが限られている。
 城内を一通り案内されたときに確か図書室はあったけれど、この世界の文字は私には全く理解できない。

(文字の勉強もしなきゃかなぁ)

 言葉が通じるのは7年前も不思議に思ったけれど、それも聖女の力なのだとティーアに言われそういうものかと納得しつつ、なら文字も読めたらいいのにと思ったりした。

(会議、私も参加させてもらえば良かったかな)

 この国のことが色々とわかる良い機会だったかもしれない。

 一先ず立ち上がり、私は大きな窓を開けてバルコニーに出た。
 少しひんやりとした爽やかな風が頬にあたって気持ちがいい。
 私はそこに置かれていた可愛らしい椅子に腰を下ろし景色を眺めた。
 ここからでも小さく竜の都は見えるけれど、流石に人々の様子まではわからない。

(やっぱり一度行ってみたいなぁ)

 この国の人々の生活も気になるけれど、ぶらぶらと街中を散策してみたいと思った。
 7年前も色んな国へ行ったけれどいつ魔物が襲ってくるかわからずそんな気持ちの余裕がなかった。
 今なら観光気分で楽しめそうだ。
< 101 / 412 >

この作品をシェア

pagetop