再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

「っと、危ない」

 バランスを崩し危うく椅子と一緒に転倒しそうになったところを、その人に腕を引かれなんとか持ち堪える。

 ――!

 間近に見たその人の瞳は綺麗な翡翠色で、私は目を見開く。
 その色には覚えがあった。

 彼は私から手を離すと、くくっと可笑しそうに肩を震わせた。

「あのときと全く同じ反応なんだもんなぁ。変わらないね、コハル」

 翡翠の瞳、そして透き通るような銀の髪。

「――も、もしかして、エル!?」
「そうだよ、コハル。久しぶりだね」

 彼はそうしてあの頃と全く変わらない穏やかな笑みを浮かべた。

「コハルさま……お知り合いですか?」

 私の後ろに隠れていたメリーが小さな声で訊いて、私は頷く。

「うん、7年前に少しだけ一緒に旅をしたの」

 そう、彼は旅の途中今のように突然私の前に現れて、少しの間行動を共にしたのだ。
 目的の場所まで案内してくれて、不思議な力で危ないところを助けてくれたこともあった。
 最初は流石に警戒していた私も、その中世的な優しい顔立ちと柔らかな雰囲気にいつの間にか気を許していた。
 でも私が目的を果たしたところで現れたときと同じようにいつの間にか姿を消してしまって……。

「そうだよ、あのとき結局お礼も言えなくて。だっていきなりいなくなっちゃうから」
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