再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

「はは、そうそう。そうだったね」

 楽しそうに笑う彼を見て呆れて言う。

「そうだったね、じゃないよ、あのとき結構心配したんだから」
「ごめんごめん」

 7年前、結局彼のことは「エル」という名前しかわからなかった。
 一体彼はなんなのか、なぜあのとき私を助けてくれたのかもわからないままだ。

「でも、また会えて良かった。あのときは本当にありがとう、エル」

 7年越しにお礼を言うと、エルは優しく微笑んだ。

「言っただろう、きっとまた会えるって」
「え?」
「……でも、」

 そのとき彼の翡翠の瞳がすっと伏せられた。

「まさか、君が竜帝妃になるなんて思わなかったなぁ」
「コハル様、お茶のご用意が出来ました」
「え!?」

 急に入ってきた声にハっとして振り返ると窓からローサが顔を覗かせていて焦る。

「申し訳ありません。お返事が無かったので、勝手に失礼させていただきました」
「あ、えっと、彼は」

 エルのことをどう説明しようと慌てて彼の方を見て、

「あ、あれ!?」

そこにはもう、その姿はなかった。

「コハル様? どうされました?」

 なんだか狐につままれたような気分で見下ろせば、メリーも私と同じような顔をしていて。

 ……やっぱり彼はよくわからない不思議な人だと思った。

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