再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

(男? って、もしかしてエルのこと?)

 あれを見られていたのかと驚く。でも。

「コハルが庭師に何の用があったんだ」
「庭? ……あ、ベルデさんのこと!?」

 そう言うと彼の眉がぴくりと跳ね上がった。

「なぜコハルが庭師の名など知っている」
「え、いや、私もさっき知って……って、ちょっと待って。もしかしてそれで怒ってるの!?」

 思わずタメ口で素っ頓狂な声を上げてしまうと彼はムスっとした顔をした。

「悪いか」
「悪いっていうか……ふっ」

 つい吹き出してしまった。

「な、何を笑っている!」
「だ、だって……」

(かわいい~~っ!)

 彼には申し訳ないけれど、そう思ってしまった。
 何を怒っているのかと思ったら、まさか嫉妬してくれていたなんて。
 
 でもリューの未だぶすっとした顔を見て、私は慌てて笑うのをやめた。

「すみません。ただお花のお礼をしに行っただけです」
「本当か?」
「本当です。それにあのときメリーもアマリーも一緒でしたし」
「……見えなかった。だが、お礼にしては結構長いこと話していただろう」
「ちょっと庭園についての話をしていて」
「庭園の?」
「はい。――あ、そうだ。そのことでリューに相談があったんです」
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