再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第24話
「……」
「……」
気まずい沈黙。
(リュー、怒ってるよね……?)
こちらに向けられたままの背中から、それが伝わってくる。
ついさっき彼が嫉妬すると知ったばかりなのに。
(エルも何もあんなことまで言わなくたって……)
結局この雰囲気に耐え切れなくなった私はその背中に声を掛けた。
「リュー? あの、彼は本当に……その、妖精王なんですか?」
「……妖精王エルフェイツィー。奴の名だ」
聞いたことのない低い声。
と、彼がこちらを振り向き、私に手を差し出した。
「それを」
「え?」
「さっき奴から受け取った」
「お守り?」
私は手に持ったままの小箱に目を落とす。
「処分する」
「は!?」
まさかの言葉に私は驚く。
「なんでそんなこと」
「不吉だからだ」
「不吉って……エルはお守りって言ってましたよ!」
そう返すと、彼はぴくりと表情を歪めた。
「コハル」
私は首を振ってその小箱を背中に隠す。
「ダメです。っていうか、なんでそんなにエルのこと「奴」とか「不吉」とか酷い言い方するんですか。同じ王様同士なんでしょう?」
「……この間も言ったと思ったが、奴ら妖精とは基本的に相性が悪い」
「相性って」
確かについ先日そう聞いたけれど。
彼は憎々し気な表情で続けた。
「あいつは特に昔から気に食わん。勝手で気まぐれで散々人を振り回して、それでいつもああして人を小馬鹿にしたように笑っている」
「そんな……」