再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
(……まぁ、確かにその通りではあるんだけど)
7年前のあれこれを思い出して強く否定出来ずにいると。
「それより、コハルが奴と旅をしていたなど俺は聞いていないが」
ギクリとする。
(やっぱり、そこだよね……)
と、リューが怖い顔でこちらに一歩近づいてきて、なんとなく私は一歩後退ってしまった。
「だ、だって、言う機会がなかったですし」
「やけに親し気だったな」
「それは、だって、まさか王様だったなんて知らなくて」
「それと、“さっき”とはなんだ。さっき、もう奴と会っていたのか」
まるで尋問されるように次々訊かれて半ばパニックになりながら答えていく。
「えっと、さっき、突然バルコニーに現れて、ほんのちょろっとだけ話を」
「バルコニーに? なぜ言わなかった」
「だ、だって……っ」
そこでお客様用のソファに脚が当たり、それ以上逃げ場がなくなってしまった。
「コハル」
「は、はい……っ!」
腕をがしりと掴まれたかと思うと腰に手を回されそのまま私はソファに押し倒された。
(あ……!)
その拍子にエルからもらった小箱が床に落ち、中のブローチがころころと転がっていく。
手を伸ばそうとして、でもリューはそんな私の手を取ると完全に据わった目をして言った。