再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「め、メリー」
「コハルさま良かったのですぅ~! てっきりあの竜人族に嫌気がさしてあのお方と逃避行してしまったのかと思いました~~」
「ご、ごめんね、驚いたよね」
「というかコハルさま、さっきのお方が妖精王さまって本当なのですか……?」
「あー、うん、本当みたい」
メリーの顔がさーっと青くなっていく。
「メリーは、メリーは、妖精王さまを前にしてなんて非礼をばばばばっ」
「大丈夫、もう帰っちゃったから」
多分。
そう心の中で付け加えて言う。
「でもメリーはエル……妖精王のこと知らなかったんだね」
「ほとんどの妖精がそのお姿を見たこともお会いしたこともないのです。それだけレアなお方なのです~」
「レア……そうなんだ」
確かにゲームとかだとレアキャラっぽいなと笑いそうになってしまった。
でも、そこでハタと気付く。
メリーが彼が妖精王だと知っているということは――。
そのとき、背後でバサリという風音がした。
振り返れば、大きな竜の翼を生やした彼がこちらを見下ろしていて。
「リュー……?」
私は小さくその名を呼んでいた。