再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「こ、コハルさまーー!」
「え?」
「見ましたか!? あいつ、このメリーに恐れをなして逃げていったのですよー!」
「そ、そうだね」
大興奮のメリーに苦笑して、私はもう一度彼を目で追ったけれどもうその姿は見つからなかった。
(リュー……?)
「コハル様!?」
そのとき背後で上がった声に振り向くと、部屋の中にセレストさんの姿があった。
瞬間、先ほど彼に気まずいところを見られたことを思い出す。でも頭から振り払って私はバルコニーから部屋へと上がった。
「すみません、勝手にお城から出てしまって」
まずそう謝罪する。リューが知っているということは彼も知っているはずだ。
するとセレストさんはほっとした様子で首を振った。
「いえ、ご無事で何よりです。……エルフェイツィー様は?」
「先ほど帰られました」
「え?」
「その、自分がいると皆に気を遣わせてしまいそうだからと」
「そうでしたか……」
それにも安堵した様子のセレストさんに私は訊く。