再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
私が目を瞬いているとセレストさんはもう一度短く息を吐き、くいと中指で眼鏡の位置を直してから続けた。
「おそらく、コハル様に拒まれた上にエルフェイツィー様と共に逃げてしまわれたことが相当に堪えたのだと思います」
「……!」
思わず顔に熱が集中する。
「え、えっと、逃げたわけでは……その、ちょっと外の空気を吸いたくなったといいますか」
しどろもどろに弁解するとセレストさんが大真面目な顔で言った。
「コハル様が戻られなければ、『妖精の国』と戦になるところでした」
「戦……っ」
流石に大袈裟ではと思ったけれど、言える雰囲気ではなかった。
……ひょっとして、彼は怒っているのだろうか。
「ちなみに前回籠られたときは10日間塔から出てきてくださいませんでした」
「10日も!?」
思っていたより長くてびっくりする。
「そ、そのときは、何が……」
「前竜帝……陛下のお父上様が崩御されたときです」
私は大きく目を見開いた。