再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
覚悟
第28話
「そういえば、リュー皇子のお母さんは今どこに……?」
7年前、何がきっかけか忘れてしまったけれどそう訊ねたことがあった。
すると彼はこちらを見ずに、さらっと答えてくれた。
「母上は2年前に病で死んでしまった」
「! ご、ごめんなさい!」
私が慌てて謝ると、彼は呆れたような顔でこちらを振り返った。
「なぜお前が謝る」
「だって……」
「確か、お前は父も母もいないのだったな」
「そう、ですが……私の場合、物心ついたときにはもういなかったのでそれが当たり前というか」
「そうか。……母上は元々身体が弱くてな。だが父上は、そんな母上のことを深く愛していた」
そう話すリュー皇子は、とても優しい目をしていた。
「だから、父上は母上がいなくなって本当はとても辛かったのだと思う。俺の前でこそそんな素振りは見せなかったが。……そこを、魔王につけ込まれたのではないかと俺は思っている」
そうして彼は魔王に対して怒りと憎しみを露わにしたのだ。