再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。


 どこまでも続いていそうな暗い螺旋階段を慎重に上っていきながら、私はふとそんな昔の彼のことを思い出していた。

(リューは、お父さんとお母さん、両方を亡くす痛みを知っているんだ……)

 それは私にはわからない痛みだ。

 彼がいるかもしれないその部屋へはなかなか辿り着けず、運動不足だろうかすでに息が上がっていた。
 でも等間隔に取り付けられた窓からは月が見えて、その薄ぼんやりとした月明かりのお蔭で、なんとか視界がきき階段を踏み外さずに済んでいた。

(リューもこのどれかの窓から塔の中に入ったのかな)
 
 ……会ったらなんて言おう。
 まずは勝手に城を出てしまったことを謝って、あと大嫌いと言ってしまったことも。

(謝って、それから……?)

 もし許してくれなかったら…?
 もうお前のことは信用出来ないと、突っぱねられてしまったら……?

 そんなリューを想像したら、ぎゅうと胸が苦しくなった。

 とにかくちゃんと話がしたかった。
 リューがエルとのことで何か誤解をしているのならその誤解を解きたかった。
 やましいことなんて何もないのだから。
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