再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第29話
「コハル……」
リューの金の瞳が大きく見開かれる。
吐き出した言葉と一緒に、私の両目からはボロボロと涙が零れ落ちていた。
泣きたいわけじゃないのに、止まらない。
怒りとは違う、このぐちゃぐちゃとした感情は一体なんだろう。
わからない。
ただ、今リューから突き放されて、喉の奥がどうしようもなく痛くて苦しい。
これが、「恋」や「愛」の痛みというやつなのだろうか。
誰かに恋をしたことも、誰かを愛したこともないからわからない。
でもきっとこれは、「恋」とか「愛」とかそんな綺麗なものじゃない。
私は誰かに必要とされて、誰かに愛されたかっただけで。
必要とされていると思っていた会社をあっさりとクビになって、空っぽになったところに丁度よくリューが現れて、その隙間を埋めるように愛してくれたから。
結局、私は彼に縋っただけなのかもしれない。