再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
と、後輩が元々高い声のトーンを更に上げて言った。
「あ~そうだ先輩! 来週一緒に合コン行きません?」
「え?」
「佐久良先輩って、確か彼氏いないですよね~?」
「う、うん、まぁ……」
一瞬、あの不敵な笑みが浮かんでしまって慌てて打ち消す。
「じゃ~あ、一緒に行きましょうよ~! ぱーっと楽しんじゃいましょ~」
「あれ? でもユイちゃん彼氏いなかったっけ?」
「いますけど~そんなの気にしてたらダメですよ~! 出会いは大切にしなきゃ~」
「そ、そうなんだ……」
彼氏いない歴=年齢の人間には、そのノリが全く理解が出来なかった。
……これまで出会いがなかったわけじゃない。でもこの人だ、という人がこれまでいなかったのだ。
告白されたこともないわけじゃないけれど、好きでもない人と付き合うなんてことは私にはできなかった。
(それでまさか、異世界の王様に妃になれなんて言われるとは思わなかったけど……)
「一週間なんて、やっぱり早すぎるよ~」
今日もサービス残業を終えボロボロになって帰宅した私はソファに倒れ込んだ。
身体の向きを変え、机の上のネックレスを見つめる。
――あれを壊してしまえば、もう悩まなくて済む。
でも彼の、どちらかと言うと少年の方の彼のことが頭にちらついた。
あのとき私が軽い気持ちで「いいですよ」なんて言っていなかったら……。
もし彼があの約束に縛られているのだとしたら、すごく申し訳ないことをしてしまったと思う。
彼なら引く手あまただろうし、私よりも相応しい人が絶対にいるはずだ。
(どうしよう……)
結局その日も、私はソファで寝落ちしてしまったのだった。