再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 そこで興奮したように声を上げたのはメリーだった。
 皆のいる前でメリーがこんなふうにはっきりと発言するのは初めてのことだ。
 きっと妖精の王様であるエルのことが話題に上がって嬉しいのだろう。
 そしてメリーは得意げに続けた。

「コハルさまは、なんと妖精王さまと一緒に旅をしたことがあるのです!」
「え!?」

 皆が、ローサまでが驚いた顔をして私は慌てる。

「で、でも、そのときは王様だなんて全然知らなくて。旅をしたって言ってもほんとちょっとの間ね」

 お城の中で妙な噂が立っても嫌なのでそう説明する。
 と、アマリーが何やらもじもじと上目づかいで続けた。

「で、では、コハル様と妖精王様は、やはり以前、その……」
「え?」
「アマリー」

 ローサが先ほどよりも強い口調で止めに入って、私は遅れてその意味に気付いた。

「ちょ、ちょっと待って、もしかして私たちのことで(すでに)変な噂立ってたりする?」

 私が顔を引きつらせながら訊くと、ローサは小さく息を吐いて言いにくそうに口を開いた。

「昨日、コハル様と妖精王様の行方がわからなくなった一件で、そのような話が少々……」
「!?」

 ひぇっと声が出そうになった。
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