再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 昨日はリューと自分自身のことでいっぱいいっぱいだったけれど、考えてみれば当然だ。
 私とエルが行方をくらまして、それを探すためにリューが城を出て……ほんの数時間の出来事だったけれど城の中では結構な騒ぎになっていたのかもしれない。
 お城は広いけれど、その中で噂が広がるのなんてきっとあっという間だろう。

「ないない! エ……妖精王様は私にとっては昔の恩人で、昨日はちょっと、これから竜帝妃になる上での相談に乗ってもらってたというか……とにかく、彼とは本当に何もないの!」

 私がそう必死に説明すると、皆ほっと安堵したような表情を見せて。
 そんな彼女たちに私は頭を下げる。

「昨日は皆にも心配をかけてしまって本当にごめんなさい」
「そんな、コハル様……!」
「頭をお上げになってください!」

 皆が気遣ってくれる中、私は猛省していた。

(竜帝妃になるって決めた途端これか……)

 これからは私の行動ひとつひとつに責任が出てくる。
 私の軽率な行動のせいで、リューの評判を貶めることにもなりえるのだ。

(気を引き締めなきゃ……!)

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