再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
そして案の定。
「ふざけるな! なんてことをしてくれたんだ!!」
課長はブチ切れ、顔を真っ赤にしながら怒鳴り声を上げた。
「申し訳ありません!」
「すみませ~ん」
私たちは2人そろって深々と頭を下げた。
しかし当然ながらそんなことで課長の怒りは収まらなかった。
「一体どうしてくれるんだ! うちの信用問題に関わって来るぞ」
「本当に申し訳ありません。早急に、彼女と一緒に謝罪に行ってまいります」
「当たり前だ! さっさと行ってこい!!」
そうして、私たちはお詫びの品を持って取引先へ謝罪に行った。
……しかし。
「本当にごめんなさ~い!」
「……」
その帰り道、私は彼女のその涙ながらの謝罪に答えてあげることが出来なかった。
中止されてしまったのだ。うちとの取引を。なんともあっさりと。
このことをこれから帰って課長やチームの皆に伝えなければならない。そう思うとキリキリと胃が痛んだ。
会社に戻り私の話を聞いた課長は、もう怒鳴らなかった。
代わりに酷く冷めた目で静かに告げた。
「佐久良、お前が責任を取れ」
「え?」
小さく声が漏れた。
ゆっくりと顔を上げると、課長がこちらの胸元を見て眉をつり上げた。
「お前、まさかそんなチャラチャラしたものをつけて謝罪に行ったのか?」
「!」
見れば、あの魔法石のついたネックレスがスーツの上に出てしまっていた。何度も頭を下げているうちにいつの間にか零れてしまったようだ。