再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
するとセレストさんは諦めたようにはぁと息を吐いて、手にしていた一冊の本を私の前に広げた。
「こちらがこの世界の文字の一覧になります」
開かれたページにはこの世界で確かに見覚えのある文字が並んでいた。
今はその全てが記号に見えてしまうけれど。
「ちなみに、こちらの本は陛下が幼少の頃に使っていたものです」
「へぇ」
「ああ、懐かしいな」
リューもふっと顔をほころばせた。
言うなれば、小学一年生用の国語の教科書みたいなものなのだろう。
幼いリュー皇子がこの本を一生懸命に読んで勉強している姿が目に浮かんだ。
「こちらを覚えていただくことになりますが、コハル様の場合コハル様の世界の文字と照らし合わせながらの方が覚えやすいですかね」
「あ、はい」
「では手始めに名前からいきましょうか。まずコハル様の世界の文字でこちらに書いてみてください」
そうして目の前に紙と羽ペン、そしてインクが差し出されて戸惑う。
「すみません、私羽ペンを使うの初めてで……」
「そうなのか? ペン先にインクを付けるだけだぞ」
リューがそう言いながらペンを手に取り、お手本を見せてくれた。